設立5年目を迎えて、東京レーベルが目指すものとは

設立5年目を迎えて、東京レーベルが目指すものとは

おかげさまで設立から5年目に入り、多くのお客様、取引先様に恵まれるようになりました。

その過程で、少しでも業界と接点のある方々からは、よくこのように言っていただく機会が増えました。その時々で表現は違えど、要約すると、「東京レーベルさんって、不動産会社って感じじゃなくて、新しいですよね」ということ。これが良い意味なのかどうかはさておき、不動産会社っぽくないと言っていただけるのは我々にとって非常に嬉しい評価です。

何故なら、そう意識しているからです。

断っておくと、「不動産」が嫌ということではありません。どこまでいっても中身は不動産会社です。
ただ、固定観念的なイメージを持たれていないという点が大事だと思っています。

今日は、「東京レーベルはどんな不動産会社になりたいか?」というテーマで、我々の考えを少しご紹介させてください。

1.背景

東京レーベルの代表者である小栗と吉川(私)は、大学院時代の同級生です。
我々は、いわゆるビジネススクールと呼ばれる経営学専攻の学校に所属していました。
そこでの学問的な学び、及び社会人学生との交流を経て、将来は自分たちで会社や事業を運営したいという思いを強くしました。

一方で、新卒として大企業に身をおいて社会人を経験することも非常に大事なことだと考え、各々広告業界とIT業界に就職しました。約10年ほど会社員としての時間を過ごしましたが、この間に得られた知識、スキル、経験値は直接的ではないものもあれど、今の会社経営における土台となっています。

その後、思い切って各々会社員の道を辞し、かつ新境地となる不動産業界への挑戦を決意しました。

2.外から来て感じるギャップ

背景の通り、全く別の業界から不動産業界に参入し、今はそれを経営している訳ですが、当初想像していたのは、不動産にしろ、建築にしろ、専門的な法規制が多く、業務には国家資格が必要であるということを踏まえて、非常に複雑なビジネスで幅広い知識が必要になるだろうということでした。どことなく私が扱っていたM&Aや事業投資に似ているのでは?というイメージです。

結果、その構造や要素は似ていたのですが、業界の中心的な文化は全く異なるもので非常に驚きました。もちろん一概には言えないのですが、2つ象徴的なことを挙げます。

(1) 質より量が大事で、とにかく量を基準としたKPIが非常に多く、複雑な法規制などはもはや専門家に任すようなスタイルが多い印象です。ですが、意外とそれが上手くはまっていて、量 = 結果になりやすくもあります。

(2) そんな複雑な要因が絡むビジネスであるのに、労働環境、考え方、手法、ツールはかなりアナログです。たとえば、レインズと呼ばれる不動産業者専用の流通プラットフォームは何世紀前のシステムか?と思うほど、古さを感じます。FAXもまだまだ大活躍中です。不動産DXと呼ばれるものも、まだまだ多くがアナログだった手法にITを取り入れた程度のものが散見されます。

3.理解できる習慣、業界の普通

最初は非常に戸惑いました。
想像していたものと異なる業界の慣習や当たり前がそこにあり、またそこに従事する人々の多くがそれを当然に受け入れている環境になかなか慣れませんでした。ただ、5年の経験の中で自分自身のモノの見方も大きく変わり、成長できているとも感じます。

東京レーベルのバリューの一つに、「そもそもの観点」というものがあります。
これは固定概念を取り払って、何が正しいか、何があるべきか自分で判断するという趣旨のものです。
自身のビジネスに対する感覚の当たり前を基準に、思っていたものと違うので、それが不自然なものと判断することは、結果的に固定概念に染まっていた証でした。

不動産は非常に強い商材です。日本の市場は参入障壁が低く、事業者が分散しているので、事業が成立しやすい環境と言えます。

そんななかで、深く考えること、洞察することよりも、行動量が結果を左右することも多く、とにかくそれに特化した企業が成長を遂げるという傾向があります。これはこれで、ビジネス環境に順応した結果であり、理に適っていると考えました。

4.問題提起

一方で、こういった業界の慣習が唯一の正解のように語られる場面も多く目にする機会があり、この点においては懸念があります。

行動量を極限化すること = 走り続けること、と考えたとき、以下のような問題が気になります。

・走り続けることは純粋にしんどいことです。年齢を重ねたらどうなるのか、走るのに疲れてしまったらどうなるのか?
・キャリアを形成する過程で、走る以外の要素が求められたときに、それを一から再構築するのか?
・世の中も業界も変化し続け、パラダイムシフトが起きます。そのときに果たして対応できるのか?
・皆で同じ方向に同じように走り続けることは個性を排除してしまうのでは?個性は本当に不要なのか?

5.大事にしていること

東京レーベルは行動量を否定しません。むしろ、どんな仕事でも運動量で乗り越えるしかない場面はあり、それはどのような業界、ビジネスモデルでも共通と考えています。ただし、行動量が全て、唯一の正解かと言われるとそれは極端です。あくまで手段の一つであるという認識が必要です。

目の前の仕事、課題に対して、あらゆる知識、スキル、経験、知恵、アイデアを振り絞って、考え抜いた先に出した答えに対して、行動量をぶつけていく、そんな取り組み方が大事ではないでしょうか。

また、業界の慣習、当たり前、そういったものに捉われてしまうと視野が狭まり、最終的には事業の担い手であるメンバーの個性を消すことになってしまわないかと危惧します。

自由に発想し、自由にチャレンジする、やり方が一つだと決めつけない、そんな姿勢で、それぞれの正しいと思う方法で、事業を推進することが理想です。

当然、自由度を増し、多くの選択肢を認めることは、反面組織としての統一感を削ぐ可能性がありますし、何よりそれを認めながら成果を出していくことは非常に困難です。ですが、困難であるからこそ、会社としてそれを追求することに価値、意義があると信じています。

まだまだ、ここで掲げたような理想に現実が到達できていませんが、その第一歩として、まずは、最も分かりやすい枠組みである”不動産会社”というイメージを取り払って、我々は固定観念に縛られない集団であることを示していきたいですし、それが少しずつ体現できていることに、ほんの少しの充足感を味わうことができています。

吉川 千尋

一橋大学大学院卒業後、日本アイ・ビー・エム(株)にファイナンス職として入社。経理・財務担当者を経て、国内のM&Aプロジェクトに従事。東京レーベルに入社後、2022年に新築一棟企画事業のCEOに就任。

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